実在のガンマンはゴルゴに勝てるのか?徹底検証してみた!

マンガ

「ヤツの後ろに立つな、命が惜しければ」

引用 Twitter

世界一の超A級スナイパー・ゴルゴ13決して年を取らない正体不明の東洋人にして、不可能を可能にする男。彼に狙われれば、アメリカ大統領といえども命はないでしょう。

こんなスゴイ男はフィクションにしか存在しないと思っていたのですが、何とゴルゴに勝てるかも知れない男が実在するという情報を入手しました!

本当でしょうか!?一体誰が?今回は、ある実在の伝説的ガンマンについて紹介し、彼がゴルゴに勝てるのかどうか検証してみたいと思います!

ゴルゴに勝てるかも知れない男、ボブ・マンデン

ゴルゴに勝てるかも知れない男がいるという情報を僕が入手したのは、あるYoutubeの動画でした。まずはその神技をご覧ください。

引用 Youtube

スゲェェェェェェッ!!!!銃声1発なのに何で風船が2つ割れるの!?え!?2発撃ったの!?ウソだろ!?

そう、彼こそは世界最速のガンマンボブ・マンデン。そのスピードは0.02秒と噂(うわさ)されています。ギネス記録を持つ実在のガンマンです。

そして、上の動画のコメント欄(らん)を見ていたら、こんなのがあったんですよ。

こいつだったらゴルゴに勝てるんじゃないか

この神技を見せられたら、そんな期待をしたくなるのも頷(うなず)けます。果たして、伝説級のガンマンは漫画のキャラにも勝てるのでしょうか?検証してみましょう!

ゴルゴに勝てるかもと言われるワケ

まずは、ボブがゴルゴに勝てると言われる理由について紹介します。

引用 Twitter

そうなんです、ゴルゴは早撃ち0.17秒なのです。ボブは0.02秒なので、もっと早いだろうということですね。

なるほど、と思ってしまいそうですが、ここで納得するようではオタクではありません。

ボブの0.02秒について

そもそも、ボブ・マンデンの0.02秒って、いつ・どこで記録されたものなんでしょうか?この記録がウソだったらお話になりませんからね。

調べてみると、MUNDEN ENTERPRISES, INC.というボブのDVDなどを出版している企業のサイトに記載がありました。

Self-Start: Fastest Time: .0175 hundredths of one second – Guinness Book of World Records Museum, New York, 1976. This time is less than one half, of one half, of one tenth of one second. Bob is recognized by the Guinness Book as: “Fastest Gun” “Quickest Draw” and “The Fastest Man With A Gun Ever Alive.”

(出典:MUNDEN ENTERPRISES, INC.のRECORDS & AMAZING FEATSのページ ※外部リンクへ飛びます)

このとおり、1976年にニューヨークのギネスワールドレコードミュージアムで0.0175秒というタイムを記録しています。なんてこった!?実際は0.02秒よりも早かった!四捨五入されて0.02秒として流布したのでしょうね。

なお、この記録によって、ボブはギネスブックに「最速の銃」「最速の早撃ち」「銃を持った史上最速の男」に認定されたのだとか。

ボブとゴルゴはタイムを出した状況が違う

「やっぱり0.02秒って本当なんだ。じゃあ、ボブはゴルゴに勝てるってことでいいじゃん」と思いますか?僕は必ずしもそうは言い切れないと思います。

なぜなら、ボブとゴルゴでは記録を出した状況が全く違うからです。

ボブ
ファストドロウという競技における記録
ゴルゴ
ガチガチの実戦での記録

それぞれ説明しましょう。

ボブは早撃ち競技で0.02秒を記録した

ファストドロウというのは、1950年代からアメリカで始まった早撃ち競技です。SAA(シングル・アクション・アーミー)という西部劇に出てくる銃を、腰から下げたヒップホルスターから抜いて撃つ速さを競います。

 

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引用 インスタグラム

上の動画を見れば分かるように、少しでもタイムを短縮するため、銃に手が触れるか触れないかの位置に構えた状態でスタートします。

また、ファストドロウ用の銃は早撃ち専用にカスタマイズされています。例えば、フェザータッチと言ってトリガーに指が軽く触れただけで撃発するように調整されています。このような早撃ちに特化した道具によって、驚異的なスピードを生み出すことができるのです。

ゴルゴは背後から襲われたときに0.17秒を記録

一方ゴルゴは、ガチガチの実戦で0.17秒をたたき出しています。それは、コミックス第18巻収録の「動作・24分の4」というエピソードでの出来事でした。今回は、2008年のテレビアニメ版からシーンを抜粋して解説したいと思います。

ゴルゴの背後から3人のギャングが迫る

ゴルゴの背後から3人のギャングが迫ります。

記録されるゴルゴ襲撃映像

実は、その様子はビデオに記録されていました。

襲い掛かる3人

3人が襲い掛かります。

素早く振り返るゴルゴ

するとゴルゴは素早く振り返り、

一瞬で3人を射殺

一瞬で3人を射殺します。

映像を解析

後日この映像を解析したところ、銃を抜くまで0.17秒、抜いた後0.04秒ごとに1人ずつ射殺しているということが判明したのです(以上、アニメ版『ゴルゴ13』第8話/DVDより引用)

この一連の流れで注目すべきポイントは4つあります。

①背後の敵に対応し、振り向きざまに抜いている

後ろからの襲撃に対処した結果、必然的にとても大きな動作になっています。

②ポケットに手を突っ込んだ状態からアクションスタート

反撃意志を悟られないようにするためなのか、ゴルゴはポケットに無造作に手を突っ込んでいます。そこから動き始めるので、動作が大きくなっています。

③上着の内側に隠したショルダーホルスターから抜いている

ショルダーホルスターから銃を抜く男性
ゴルゴは上の画像のようなホルスターを上着の下に身に付けており、そこから銃を抜いています。懐(ふところ)に手を突っ込む必要があるため、やはり動作が大きくなっています

④S&Wの38口径ダブルアクションリボルバーを使用

ゴルゴは、S&W M36チーフスペシャルという拳銃を使っています。

S&W M36

出典:Smith & Wesson Model 36-10. Special edition with nickel finish and ergonomic Smith & Wesson rosewood grips./Thomas R Machnitzkiを著作権者とする本作品のライセンスはCC BY-SA 3.0に基づく

実用的な護身用の拳銃なので、上で見たフェザータッチのような工夫は施されていません。ゴルゴは、引き金と撃鉄を連動させる「ダブルアクション」という方式で発射していると考えられますが、その場合、引き金を引き切るのに必要な力(※トリガープル)約7キロもあります出典

道具にも徹底してこだわるゴルゴなので、M36をカスタムしてトリガープルを通常より軽くしている可能性も もちろん有りますが、実用拳銃では暴発の危険性があるためフェザータッチほど軽くは出来ません。

以上のとおり、ボブが0.02秒を記録したファストドロウが専用の道具を使い最小限の動作で行われるのに対し、ゴルゴの0.17秒は早撃ちには不向きな道具で大きな動作を強いられる状況で記録されています。二人のタイムを同列に見るのは無理があります。

セルフスタートとリアクションスタートのからくり

そこで、二人を出来るだけ同じ条件で比較するため、別の記録を探してみます。具体的には、ファストドロウにおける2種類のタイム計測方法の違いに注目します。次の2つがあるのです。

セルフスタート
自分の好きな時に抜いて撃つ
リアクションスタート
合図があってから撃つ

言うまでもなく、自分のタイミングで撃てるセルフスタートの方がタイムが速く、合図に反応する時間を要するリアクションスタートの方が遅くなります。実は、ボブの0.02秒はセルフスタートにおける記録なのです。

一方ゴルゴのタイムはどうかと言うと、背後からの敵の襲撃を察知し、これに反応して撃っています。よって、どちらかと言えばリアクションスタートに近い状況です。

そこで、リアクションスタートでのボブの記録を持ち出してみると、以下のようなものがあるようです。

  • 合計5つの的に1.06秒(1966年アリゾナ州の選手権で記録)
    ※単純計算で5で割ると、1発当たり0.212秒となる
  • 0.16秒(1973年1月21日にカリフォルニア州ノーウォークで記録)

(出典:MUNDEN ENTERPRISES, INC.のRECORDS & AMAZING FEATSのページ ※外部リンクへ飛びます)

二人を比較するなら、こちらのタイムを使う方がより適切だと思います。依然(いぜん)として、使う道具や動作の大きさなどの点で完全に公平ではありませんが、その点を考慮すれば「ゴルゴ vs マンデン」の検証が出来るはずです。

勝つのはどっちだ?

さて、色々見てきましたが、結局のところボブはゴルゴに勝てるのでしょうか?ルール設定によって結果は変わると考えられ、答えを出すのは難しいですが、今回は二つのパターンを検証してみます。

ファストドロウ競技ではどうか?

まず、ボブの土俵であるファストドロウ競技です。お互いに愛銃を使用し、得意なスタイルで抜き撃ちタイムを競うというルールで考えてみます。このルールなら、単純な秒数比較に近い考え方で検証できます。上で見てきたデータを基に比較してみましょう。

ボブ
リアクションスタートで0.16秒
ゴルゴ
銃を抜くまで0.17秒+ターゲット一つ撃破に0.04秒=0.21秒

お!?ボブがやや優勢か?いやいや、忘れてはいけません。ゴルゴの0.17秒はポケットに手を突っ込んだ状態から振り向きざまに抜いた場合です。早撃ち競技で正面の的を射抜くなら、もっと早い可能性があります。それを考慮すれば、勝敗は五分五分といったところでしょうか?

実戦なら?

次に、実際の戦闘だとどうでしょうか。恐らくルール無用の銃撃戦ではボブに勝ち目はありません。彼はあくまで射撃競技のプロであり、戦闘のプロではないのです。

そこで、ボブにも勝ち目がある状況(=正面から向かい合っての決闘)に持ち込めたと仮定してみます。上で見たとおり、早撃ちタイムなら二人は良い勝負になると考えられます。また、ボブは射撃精度も神技級であり、恐らくゴルゴに劣らないでしょう。このルールなら勝てるでしょうか?

たぶん答えはノーです。ゴルゴは、純粋な射撃の実力で上回る敵との決闘にも勝利しています。それは、コミックス第2巻収録の「南仏海岸(コート・ダジュール)」というエピソードでの出来事です。

引用 Twitter
イクシオンという盲目のスナイパーが登場し、その早撃ちの腕前はゴルゴをも凌ぐものでした。しかし、彼との一対一の決闘で、ゴルゴは銃を一旦投げ捨てるという奇策で意表を突き勝利しています。

冷徹な判断と明晰な頭脳で相手の弱点を見抜き、最も効果的な一手を打つのがゴルゴ13なのです。単純な射撃の実力だけで勝つのは困難だと思います。

まとめ

  • 超A級スナイパー・ゴルゴ13に勝てる男が実在する?
  • 男の名はボブ・マンデン、その早撃ちは正に神技!
  • 早撃ち0.02秒なので、0.17秒のゴルゴ13にも勝てる?
  • タイムを出した状況が全く違うため、単純比較するのはナンセンス
  • ファストドロウ競技におけるタイム計測法の違いも考慮するとほぼ同等のタイム
  • 早撃ち競技で競うなら五分五分、実戦で勝つのは難しいと考えられる

フィクションの住人であるゴルゴはやはりモンスターです。しかし、その怪物と早撃ちのタイムで張り合える人間が実在するとは現実も捨てたもんじゃありませんね。

「どっちが強いのか?」というのはオタク心をくすぐる永遠のテーマです。明確な答えを出すのは難しいですが、考えるだけで楽しいですよ!